「大阪府は3世代同居が多いからコロナ死者数が多い」はデマ——事実に基づく正しい理解を

1. 大阪府のコロナ死者数が多い理由とは?

新型コロナウイルスの感染拡大が深刻だった大阪府において、「大阪は3世代同居の家庭が多いから死者数が多くなった」という主張が一部で広まりました。しかし、この説には科学的根拠がなく、事実とは異なるデマであることが指摘されています。

そもそも、日本全国のデータを見ても、大阪府が特別に3世代同居の家庭が多いという統計はありません。それにもかかわらず、このような主張が広がった背景には、大阪府の高いコロナ死亡率に対する責任を「家庭環境」に転嫁する意図があったのではないかという疑念があります。

2. 3世代同居は本当に多いのか?データで検証

3世代同居の割合を示すデータとして、総務省が発表する「国勢調査」の結果があります。

  • 2015年の国勢調査によると、大阪府の3世代同居率は全国平均と比べて特に高いわけではなく、むしろ東京都などの大都市圏と同程度。
  • 近年、日本全体で核家族化が進み、大阪府においても同様の傾向が見られる。

このデータを踏まえると、「大阪は3世代同居が多いからコロナ死者数が多い」という主張は根拠がないことがわかります。

3. なぜ大阪のコロナ死者数は多かったのか?

大阪府でコロナによる死者数が多かった理由は、3世代同居とは関係なく、主に以下の要因が挙げられます。

  1. 医療体制の逼迫
    • 大阪府では2021年の第4波、第5波の際に医療崩壊が発生し、多くの患者が適切な医療を受けられなかった。
    • 病床数の不足により、自宅療養中に亡くなるケースが急増。
  2. 高齢者施設でのクラスター発生
    • 高齢者施設での感染拡大が深刻であり、特にワクチン接種が進んでいない段階では死亡率が高かった。
    • 高齢者施設における感染対策が不十分だった時期があり、集団感染が発生。
  3. 維新の会による医療政策の影響
    • 維新の会が推進した「二重行政の解消」による病院統廃合の影響で、府内の医療提供体制が脆弱化していた。
    • 保健所の人員削減により、感染症対策の機能が低下していた。

4. 「3世代同居デマ」の背景にあるもの

「大阪は3世代同居が多いからコロナ死者数が多い」という主張が広がった背景には、大阪府の政治的責任を回避する意図があったのではないかと考えられます。

  • 維新の会の対応への批判をそらす
    • コロナ対策の不備に対する批判をかわすために、「家庭環境」という外的要因に責任を転嫁。
    • 府民の生活スタイルに問題があるかのように言い、政治の責任を軽減しようとする意図。
  • 「個人の自己責任」を強調する風潮
    • 維新の会はこれまでも「自己責任論」を前面に打ち出してきた政党であり、社会的な問題を個人の選択や家庭環境に帰結させる傾向がある。
    • 「大阪の家庭環境が特殊だから仕方ない」とすることで、政策の問題点を見えにくくする。

5. 正しい情報に基づく議論を

今回のように、誤った情報が広がることで、問題の本質が見えにくくなることがあります。大阪府のコロナ死者数の多さは、家庭環境ではなく、医療政策や行政の対応が主な要因であったことが明らかです。

コロナ禍のような危機的状況では、正しい情報をもとに政策の検証が行われるべきです。「3世代同居が多いから死者数が増えた」といったデマを信じるのではなく、医療体制や政治の判断がどのように影響したのかを冷静に分析することが求められます。

今後も、誤った情報に惑わされず、事実に基づいた議論を進めていくことが重要です。

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