

第2-(1)-15図 企業における内部留保の推移
令和5年版 労働経済の分析 -持続的な賃上げに向けて-の第2-(1)-15図 企業における内部留保の推移を掲載しています。
- 内部留保のある企業: 余裕があれば賃上げや福利厚生の充実が可能だが、必ずしも社員に還元するわけではない。
- 内部留保のない企業: 人件費を抑える傾向が強く、労働条件の改善が難しい。
企業の内部留保とは賃上げの原資の一つです。賃上げの原資とは、要は配るお金の出所(でどころ)です。シンプルに内部留保を切り崩して労働者の賃上げを行うイメージで考えたときに、内部留保のある企業とない企業とがあって、さらに企業も市場の競争で負けたくないから、なるべく内部留保を切り崩したくないのです。企業の勝ち負け(内部留保の有る無し)があること自体が80年代から続く新自由主義的な経済政策(格差拡大路線)のせいですが、自公維の、それを継続しようという政策レジーム(政治レジーム)が解決を遅延させているのです。
なぜなら、
内部留保を切り崩したくない理由1. 財務の安定性
- 内部留保のある企業: 事業継続や不測の事態に対応しやすく、資金調達の必要性が低い。
- 内部留保のない企業: 資金繰りが厳しく、赤字が続くと倒産リスクが高まる。
内部留保を切り崩したくない理由2. 設備投資や研究開発の余裕
- 内部留保のある企業: 設備投資や研究開発に資金を回しやすく、長期的な成長が見込める。
- 内部留保のない企業: 新規投資が難しく、競争力を維持するのが困難になる。
内部留保を切り崩したくない理由3. 借入依存度
- 内部留保のある企業: 銀行融資に依存せず、自己資本での経営が可能。
- 内部留保のない企業: 運転資金の確保のために借入が増え、利息負担が重くなる。
内部留保を切り崩したくない理由4. 経営判断の自由度
- 内部留保のある企業: 余裕があるため、リスクのある事業にも挑戦しやすい。
- 内部留保のない企業: 短期的な利益確保が優先され、長期的な視点を持ちにくい。
内部留保を切り崩したくない理由はこれだけありますが、すべて市場での競争(新自由主義)に起因しているではありませんか。
コメント